一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

知りすぎていた男(The Man Who Knew Too Much)

私的評価★★★★★★★★☆☆

知りすぎていた男 [DVD]

 (1956アメリカ)

 アフリカのモロッコへ息子連れで観光にきていたマッケナ夫妻(ジェームズ・スチュアートさん/ドリス・デイさん)は、道中のバスでベルナール(ダニエル・ジェランさん)というフランス人と知り合うが、彼はマラケシュの市場で「アンブローズ・チャペル」という謎の言葉を残し、ふたりの前で息絶えてしまった。警察の取調べを受けたあと、夫妻がホテルに戻ってみると、息子のハンクが誘拐されていた…。


 ドリス・デイさんが出演し、劇中でケセラ・セラを歌うということで、「青いうた 〜のど自慢青春編〜」つながりで。

 ヒッチコック監督得意の巻き込まれ型サスペンスの代表作です。サスペンス性が高いストーリー進行の中に、ドタバタ喜劇的要素がときおり仕込まれており、ヒッチコックらしさを感じます。

 ストーリーはマラケシュ〜ロンドンと舞台を移し、ふたりが巨大な陰謀に巻き込まれてしまったことが次第に分かってきます。「知りすぎていた男」というのは、「知りすぎていた」と勘違いされた男というところがヒッチコック監督の得意な設定で、その辺りのきっかけになる出来事は、毎度毎度「えっ!」と驚かされるような日常の出来事に仕込まれます。

 昨今はCG全盛ですが、古きよき時代の映画には「書割」というワザがありました(もちろん今も使うのでしょうが…)。「書割」のロンドンの風景が、この時代のよい雰囲気を醸し出しています。CGにもリアルさを追求して失敗するより、味わい深い絵画的雰囲気を出してもらいたい、そんな気がします。

●監督:Alfred Hitchcock アルフレッド・ヒッチコック