一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

アザーライフ

私的評価★★★★★★☆☆☆☆

アザーライフ スタンダード・エディション [DVD]

 (2006日本)

 数奇な運命に導かれた12人がたどり着くひとつの結末…。


 演技のうまい俳優陣、画的にもおもしろい。煽るようにジワジワと見るものを締め付けて展開するサスペンスフルな物語で、映画全体の雰囲気も上々。なのに、見終わった後に残るこの『残尿感』のようなもどかしさは…なぜだ?

 ストーリーが…なぁ。よく練られているようなんだが、どうも机上だけで組み立てて、実際に動かしてみないまま出荷してしまったような、そんな気がしないでもないような物足りなさがあって…歯切れが悪くてスマぬ。まぁ、名探偵が登場しないミステリーは、もつれた事件と人間関係を最後に解きほぐす仕掛けが作りこみ難いからなぁ。とは言え、隠されていた事実が分かった時点で『ハッとさせられるような』心の動きがまったくないまま、なんとなぁ〜く結末に導かれて終わった、そんな印象は否めません。正直なところ結末からすると、『ありふれた事件』の輻輳でしかないのに、伏線を作りこんでうまく見せようと努力している、とは思ったのですが、頭で考えすぎたんじゃないかなぁ?

 で、たぶん、2度以上見ないとストーリーというか、12人も登場する人物の相関関係などが了解できません。少なくともワシは。おまけに、登場する俳優さんたちに舞台俳優さんが多く、なじみが無い上にいわゆるイケメンが多いせいで、初見では登場人物の見分けがつかなかったのです。オッサンの悲哀やろなぁ…でも、最近の若いオシャレな男女は、みな同じような風貌を作り込むので、けっこう個性を感じにくいところがあると思うんですがね。ま、結局、始めの40分ほどの間で2回ほど、掟破りのザッピング・リプレイをして、誰と誰が同じ人物だったか再確認してしまうという恥ずかしい仕儀に…ちょっとツラい作業でした。

 あと一番気になった点。物語で12人の相関関係を巧みに繋ぐ主要な位置にいる(ような気がする)20歳のマキ(金田美香さん)の存在。ホント、気がしただけ。大杉航一郎(遠藤憲一さん)の12歳の娘と似ている(金田さんの二役)という点が見る者を陥れるワケだが、そのへんの作りこみにイヤらしさを感じずにはいられません。見終わったあとに、結局マキって、なんだったんだろう?としか思えないのです。ストーリーからすると、大杉との出会いが仕組まれたものだったような印象を与えかねないのですが、その出会いのあまりの偶然性を考えると、偶然に乗っかって意味を後から付け足そうとして、結局無意味でしかなかったという、もう何書いてんだか自分で自分の言いたいことが分からなくなるようなほど、マキの存在は『?』なのです。強いて言えば、破滅的なストーリーの結末に、『希望』をもたらすために登場したのでしょうが、大杉以外の人物との関係は、あざとい設定という気もしました。

●監督:赤池義洋