一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

鳶がクルリと

私的評価★★★★★★★☆☆☆

鳶がクルリと [DVD]

 (2005日本)

 大企業の子ども服開発チームで働く貴奈子(観月ありささん)は、新しいビルの外壁に巨大モニュメントを設置するプロジェクトの仕事を任されることになりました。ところが、突然の辞令、畑違いの仕事、2週間の短い工期に、鳶職という未知の業界との交渉役という困難な仕事に翻弄され、作業をする鳶職を決まられぬまま、時間だけが過ぎていってしまいます。果たして新ビル完成までにモニュメントの設置は間に合うのでしょうか…?


 「鳶」という業界にスポットを当てた映画…と思って見ると、肩透かしくらいそうですねぇ。実際、初見のときは、「これから鳶の仕事の見せ場か!」というところで終わって、ちょっと物足りなさを感じたのですが、80〜90年代のアイドル映画みたいなノリのラブ・コメと割り切って見れば、ラブ・コメとしての起承転結はキッチリ備わってるので、十分楽しめると思います。

 「鳶」の仕事自体の描写は、建設中のビルでのCG合成映像がメインで、さほどカッコよく思えませんでした。高所恐怖症の人にはカラダの一部がムズムズするような、イヤな映像もありましたが…。どちらかと言うと、背中のモンモン見せつけながら褌一丁で行水しているシーンだとか、いなせに袢纏をまといながら現場に向かうシーンだとか、イメージ先行で鳶のカッコよさをアピールしようとしているだけ、と言う感じですかね?

 女性同士で服を買いに行って、とっかえひっかえカメラの前でポーズを決めるシーンなんかは、ちょっとミュージック・クリップっぽかったですし、全般に鳶以外の観月ありささんメインのシーン(会社のオフィスや自室など)は、かなりポップな色使いで、やっぱり鳶の映画じゃなくて、ポップなラブ・コメなんだな、と思いました。

 観月さんは、こういう路線の映画にはピッタリはまりますね。良かったです。

●監督:薗田賢次 ●原作:ヒキタクニオ(小説「鳶がクルリと」)