一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

帰って来た若旦那

私的評価★★★★★★★★☆☆

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帰って来た若旦那(日本映画専門チャンネル公式サイトより引用)

 (1955日本)

 親同士が商売敵の息子と娘の、波乱続きの恋模様を綴るラブコメディ。「サザエさん」シリーズなどの青柳信雄監督のもと、東映時代とは一味違う鶴田浩二の甘い優男ぶりを堪能できる1本。
 西銀座の老舗菓子屋の息子で米国留学中の修一(鶴田浩二さん)は、競合する新興洋菓子屋に乗っ取られそうな実家の危機を知り帰国するが、その洋菓子屋の娘で相思相愛の杏子(司葉子さん)に横恋慕する望月(平田昭彦さん)や幼なじみの芸者・夢千代(藤間紫さん)らも巻き込み騒動が起こる。(日本映画専門チャンネルのあらすじから引用)


 BS日本映画専門チャンネルで鑑賞しました。
 未ソフト化ですね。
 モノクロームの作品で、現存する原版の最も状態の良いものをテレシネしたということで、確かに一部に映像・音声の乱れがありますが、概ね良好な画質・音質でした。

 アメリカに留学中の老舗菓子屋の若旦那が、実家倒産の危機に呼び戻されるというお話ですが、戦後から10年経ったばかりの昭和30年という時代で、いくら銀座とはいえ職人が手作りする老舗菓子屋の息子が渡米して留学というのが分相応なことなのかどうか、そのへんはよく分かりませんが、ホームドラマ&コメディというジャンルですから、設定は気にしても仕方ないんでしょうね。なんとなく、カステラを作っている菓子屋のもっちゃりした大旦那(柳家金語楼さん)と、アメリカ帰りの颯爽として洗練された若旦那の対比を面白可笑しく強調したかったのでしょう。
 望月の洋菓子屋乗っ取りの悪だくみを始め、若旦那と養女(北川町子さん)を結婚させようと暴走する大旦那のてんてこ舞いや、その養女が実は店の菓子職人(千秋実さん)と恋仲だったり、若旦那は親同士が敵対する洋菓子屋(清川虹子さん)の娘と恋仲だったり、ホームドラマというか、新喜劇などでよく使われる王道的なエピソードをうまく絡ませながら、91分という尺の短さを感じさせないほどボリューミーな内容を巧みに編んで、ストーリーが進みます。
 勧善懲悪的な爽快感あり、ほっこりする家族愛あり、男女のハラハラドキドキさせられる恋愛模様あり、そして全編を貫く古き良き昭和のホームドラマの爽やかな笑いあり、で、大変満足度の高い作品でした。楽しかったです。
 こういう毒のないホームドラマは、幼い頃からテレビで見慣れているので、安心して見てられますね。


※こちらも未ソフト化。『日本映画・邦画を見るなら日本映画専門チャンネル』は、けっこうイイ仕事されてますね。
vgaia.hatenadiary.org


●監督:青柳信雄 ●脚本:若尾徳平