一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

猫目小僧

私的評価★★★★★☆☆☆☆☆

猫目小僧 [DVD]

 (2006日本)

 藤崎まゆか(石田未来さん)は、喘息に苦しむ弟・浩(向江流架さん)のために転職を決めた気のいい父(田口浩正さん)とともに、東北のある田舎町に引っ越してきた。彼女は左ほおの大きな赤アザのせいで、転校したクラスの中でいじめにあう。弟も喘息がなかなか癒えず、薬が手放せない日々が続いた。そんなある日、藤崎姉弟の前に、猫そっくりの顔をした奇妙な少年・猫目が現れた。猫目は浩とすぐに仲良くなったが、その頃町では人智を超えた奇妙な事件が起こり、異形の少年・猫目を目撃した町の人々が、猫目を犯人と決め付け、彼を捕獲しようと躍起になっていたのだった。


 一言。評価はするけど、たぶん二度と見ないと思う…。

 まぁ、なんとチープ感漂うB級…C級…D?、よく分かりませんが、商業的にはA級でないことは確かです。内容的には、むしろ教育映画と言ってもイイかも知れません。かなりキッチュでシニカルな映画ですが…。

 原作のコミックは読んだことありませんが、きっと楳図さん独特の世界観をかなり色濃く表現した映画なんでしょうねぇ…。全体的に、暗く、陰湿で、異形のモノに対して人間が抱く頑ななまでに絶望的な差別意識が終始作品中に貫かれ、決して明るいキモチにはなれません。明らかに頭だけ被り物でちょっぴり太っちょな猫目の、コメディタッチな言動が、かえって痛々しさを増していくような気さえします。

 猫目はその姿から、妖怪でありながら、妖怪の世界でも爪弾きにされ、もちろん人間界でも日の当たる世間では生きられないという、孤独な放浪者という設定ですが、彼がどんなに人々の助けになることをしても、その事実を素直に受け入れることを拒むかのように、人間は彼を忌み嫌い、排斥しようとします。助けられた本人でさえも、です。その結果、人間は猫目からしっぺ返しを食らうことになるのですが、それでも結果的に人間を助けることになってしまう猫目って…。

 ま、ストーリーの終わりは、それでイイんだろうな、という気はしたんですが、何となく改心したかのような雄次の行動には、居心地の悪いウソ臭さを感じずにはいられませんでした。雄次は、まゆかが思いを寄せていた同級生ですが、雄次役の載寧龍二さんの演技が、ちょっと薄っぺらくて酷かったかなぁ…脇が演技派で固められてる分、余計に目立って…。

 テーマが重過ぎて、子どもと一緒に笑いながら見るような種類の映画じゃあない気がします。一緒に見るなら、見終わった後に子どもと真面目にお話する時間が必要かも…。

●監督:井口昇 ●原作:楳図かずお(コミック「猫目小僧」)