一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

たみおのしあわせ

私的評価★★★★★★☆☆☆☆

たみおのしあわせ [DVD]

 (2007日本)

結婚しても、しなくても、どのみち君は後悔することになる――ソクラテス

《たみおの結婚観》
 オクテで引っ込み思案、女性の扱いにも慣れてないちょっとヒッキー気味な民男(オダギリジョーさん)。「まだ結婚しないのか?」とうるさい父親に薦められてお見合いを重ねる今日このごろ…。何度目かの正直で、ついに理想のお嫁さんが現れた!
《たみおの父》
 妻を亡くして以来、なにごともイマイチ気合が入らない人生を送る伸男(原田芳雄さん)は、唯一の希望の星、民雄になにがなんでも結婚してもらいたい。しかし、そこはオトコ所帯。お互いになかなか素直にコミュニケーションできず、いがみ合ったり、気を使いすぎたり…。そんな父と息子にとって、【結婚】という人生最大のエンターテインメントは、ふたりが一丸となって突き進める共通のゴールだ。 
《たみおの婚約者》
 「バカなの、私。わかってるの自分で。凧みたいな女だって。ちゃんと下でヒモをひっぱってくれてる人がいないと、どっか飛んでっちゃうの……」
 浴衣姿がよく似合う、清楚な瞳さん(麻生久美子さん)が意外にもすんなりと結婚をOKしてくれたので、民男はちょっと驚いて、そして父・伸男は手放しで大喜び!でも、容姿端麗で聡明な、瞳さんほどの人がなぜ…?
(DVDパッケージから引用)


 観てないDVDがヤマほどあって、蔵出し中ってカンジで順番に観てるワケだ。

 なんと言うか。大人のドロドロした人間関係を、ゆるい展開の中に包んだ、変な映画。どう考えても、お子ちゃまには理解できない、大人の映画。

 笑うに笑えないボクは、おそらく民雄と同じオクテの人種だからだろうと思う。
 スパークしてしまった透(小林薫さん)と宮地(大竹しのぶさん)の、むさぼり合うような抱擁は、民男の眼に、どう映ったんだろうか?
 ボクには、汚らわしいイメージしかない。人目につくかもしれない場所で、そんな濃厚なラブシーンなんて、ありえんわ~。

 透は、相当ひねた男だなぁ。民男に説教めいたこと言っちゃってるけど、コンプレックスの裏返しにしか思えない。嘘つきだし、鬱屈してるし、多少知恵が働くから、小ズルいこともするし、イチバン近づきたくない人種。

 焼肉屋での伸男と民男の口げんかは、亡き父との言い合いを思い出させてもらったなぁ。ほぼ、言ってる主旨は、似たり寄ったり。親父からすると、世間を斜に構えて見下す小賢しくてイケ好かない息子。息子からすると、世間体や体面ばかり気にしてるだけのつまらない親父。気にくわないと、飯も食わないのまで似てて、父・伸男を見ててちょっと切なくなった。

 イチバン不思議だったのが、瞳さん。なんでそんな思わせぶりな行動や態度を取ったんだ? ド天然な振る舞いだったら、相当罪作りだと思うし、実際、罪悪感にさいなまれた結果、伸男がトンデモない行動に出て、あんな展開を迎えたワケだよね? 瞳さんの意図は、いったい何だったんだろうなぁ? そこが理解できないのが、オクテたる所以か^^;

 忌野清志郎さんがちょい役なんだけど、なんか印象深いんだよねぇ。
 監督の岩松了さんと一緒に登場し、差しでの飲みに退屈して度々席を外して携帯電話で誰かと話すので、岩松さんが「そんなことばっかりしてると友だち失くすよ」って言うと、「それで残ったのが友だちじゃん」て返すの、深いwww 確かにそうかも、と思ったけど、岩松さんとは友だち関係なのかしら?www


 ラストは、意味不明かなぁ?
 民男は、夏の入りに幻想を見たのかしら?
 それとも…?
 
 で、結局。
 〝シアワセ〟って、何?
 結婚しても、しなくても後悔するってソクラテスの言葉引用してるけど、じゃあ、どうあっても後悔するしかないワケじゃん。
 民男と伸男は、この先どうするんだろうね?

 ボクは、今のところ、結婚してないけど、それなりにシアワセ。
 でも、後悔は、確かにシテル。


●監督・脚本:岩松了