八つ墓村(上・下巻)
私的評価★★★★★★★★☆☆
(1978日本)
テレビドラマ「横溝正史シリーズ」のシーズン2とも言うべき「横溝正史シリーズII」のオープニングを飾った作品(全5話)です。金田一耕助は、もちろん、古谷一行さんです。
東宝・市川監督の劇場版「八つ墓村」、松竹・野村監督の劇場版「八つ墓村」とは、また趣の異なる本作ですが、私の中では一番馴染みが深く、私的決定版と思える「八つ墓村」です。
やはり全5話に渡る長尺ですので、原作にある細かいエピソードも拾われていて、なおかつ原作とは違った展開を迎えるところが、なかなか楽しめるところです。
3作品とも見てみると、いろいろな違いがあって、面白いです。例えば辰弥の性格設定などは、演じる役者さんの個性とともにかなり違って見えます。本作の荻島真一さんの辰弥は、けっこう野心家で強かな印象でした。ただ、それ故に…おっと、ネタバレすれすれ。やめとこ。
このテレビシリーズの最もすばらしいところは、戦後間もなくの昭和の風景や風俗をうまく劇中に織り込んで見せてくれているところでしょう。フィルム素材の映像とともに、ロケで拾われた撮影当時の日本の風景が、実にいい雰囲気を醸しているのです。
原作や劇場版と異なる部分は、けっこう物語の核心に触れるので書けませんが、ラストは衝撃的です。う〜む。衝撃は、ニ度、三度と押し寄せてくる…かも。