一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ウルトラマンメビウス 最終3部作(第48話〜第50話)

私的評価★★★★★★★☆☆☆

ウルトラマンメビウス Volume 13 [DVD]

 (2007日本)

 かつてウルトラマンメビウスとCREW GUYSを苦しめた無双鉄神インペライザーが、世界中の主要都市に一気に13体も現れた。そして暗黒四天王(巨大ヤプール、デスレム、グローザム、メフィラス星人)を送り込んだ暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人が、ついに自ら地球に降臨してきた。太陽は光を失い、闇に閉ざされた地上にインペライザーの際限ない攻撃が続き、ついにメビウスは力尽き、CREW GUYSの基地もエンペラ星人によって、壊滅状態に追い込まれた。もはやこれまで…そのとき…。


ウルトラマンガイア SPECIAL [DVD] ウルトラマンダイナスペシャル [DVD]
 最終3部作といえば、ウルトラマンダイナの対スフィア最終決戦シリーズ(第49話〜第51話)、そして明確にタイトルに表示していないけれど、実質最終3部作を構成していたウルトラマンガイアの第49話〜第51話を思い出すワケです。いずれもけっこう有事における人間の浅ましい性を見せつけてくれる、胸の痛いエピソードを含んでいたため、メビウスの最終3部作も、その前回に浅ましくも人心を惑わそうとする人間の身勝手極まりない行為が露見したため、ダイナ・ガイア同様のひどい展開を予想して、なかなか見る気がしなかったのです。けっこう心の準備をして観賞に臨んだりしたもんで、実際見たときの拍子抜けと来たら…。

 よくよく考えたら、ティガ・ダイナ・ガイアの平成3部作は、ウルトラマンといいながら、ウルトラマン自身が悩みを抱えていたりするような、けっこう子ども向けと言い難いドラマを含んだストーリー重視の作品群だったワケで、はっきり子ども向けのメッセージを込めて作られたと思われるメビウスとは性質の異なるものだったですね。

 まぁ、「ここまでストレートでいいのか?」という気もしたのですが、子ども向けの番組なら、これくらい堂々と胸を張った正義でもかまわんのでしょうね。大人は、異なる文化のそれぞれの「正義」が争いを生むという事実を知ってしまい、日々世界中で起こる紛争に胸を痛めているワケですが、それを突っ込むと、平成3部作のように、主人公が悩みながら戦い、挙句はコスモスのように「戦わない」ウルトラマンという小理屈までこねねばならなくなるワケです。次第に見ている方も、悩ましくなってしまう---ウルトラマンメビウスは、その辺の動機付けがシンプルに原点回帰したことが良かったように思います。

 まぁ、ホントに見ていて全編胸のアツくなるウルトラマンメビウスでしたが、最終回を迎えてみると、とっても甘口なウルトラマンだったな、という印象でした。決して悪い意味ではありません。とりあえず、外敵に対して厚い友情で結ばれた人々(や友好的宇宙人たち)と、一致団結して戦う、という姿勢を称えようではないですか。外敵の立場や事情、あちらの「正義」について考えるのは、別の番組にお任せするとして。

 そう考えると、典型的な勧善懲悪---水戸黄門と大差ないのか?(爆)

 最終3部作としては星7つですが、全50話の中にはよいエピソードもたくさんありました。日本の特撮テレビ番組も、一般の人々の鑑賞に堪えうる作品があると、再認識させられるシリーズでした。

●監督:アベユーイチ(48話)/佐野智樹(49・50話) ●特技監督菊地雄一(48話)/原口智生(49・50話) ●脚本:長谷川圭一(48話)/赤星政尚(49・50話)