一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

陸軍中野学校 雲一号指令

私的評価★★★★★★★★★☆

陸軍中野学校 雲一号指令 [DVD]

 (1966日本)

 神戸港を出発した軍用船が、謎の爆発により沈没する事件が相次ぎ、特高警察が捜査を開始する中、陸軍中野学校1期生の椎名次郎(市川雷蔵さん)にも捜査の指令が下りた。早速神戸に乗り込んだ椎名は、先に神戸港の夜警として潜入していた中野学校同期生の杉本(仲村隆さん)と合流し、神戸で発生している怪電波の発信元を探ることにした。電波の発信元を探る一方で、椎名は杉本から報告のあった、夜警の元川の昼間の行動を逐一監視し始めた。元川は毎日判で押したように、中華料理店で昼飯を食べ、午後2時には馴染みの銭湯に通っていた。ある日、銭湯で元川が何かを受け取るのを目撃した椎名は、芸妓の梅香(村松英子さん)に探りを入れることになった。梅香は特高警察の山岡中佐(戸浦六宏さん)と懇意にしていることが分かるが、軍用船の爆発事件が再び起きてしまう。


 モノクロ映画ですが、太平洋戦争前の雰囲気をうまく引き出している、味のある映画です。

 いわゆるスパイ映画です。等身大のヒーロー椎名次郎の活躍を楽しめます。007シリーズのような荒唐無稽なアクション映画を見慣れていると、コツコツと捜査を進める椎名の仕事ぶりには、新鮮さを感じます。

 事件の捜査もなかなか一筋縄でいかないスリリングな展開で、複数の関係者のエピソードの出し入れが実にテンポよく挿入され、見ていてハラハラドキドキするような高揚感を得られました。

●監督:森一生