一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

容疑者Xの献身

私的評価★★★★★★★☆☆☆

容疑者Xの献身 スタンダード・エディション [DVD]

 (2008日本)

福山雅治主演のヒットドラマ「ガリレオ」の劇場版第1作。東野圭吾直木賞受賞作を原作に、ある哀しい殺人をめぐって探偵ガリレオこと湯川学と天才数学者が頭脳戦を展開。

 貝塚北署所轄内で、顔をつぶされ指紋も焼かれた男の死体が発見された。少ない遺留品から身元が判明、担当刑事の内海(柴咲コウさん)と草薙(北村一輝さん)は弁当屋を営む被害者(長塚圭史さん)の元妻・靖子(松雪泰子さん)を訪ねる。だが有力容疑者と思われた彼女には完璧なアリバイがあった。捜査に行き詰まった2人は、帝都大学の物理学者、“ガリレオ”こと湯川(福山雅治さん)に協力を求める。当初は興味を示さない湯川だったが、靖子の隣人が学生時代に数学の天才と認めた親友・石神(堤真一さん)であることを知り……。
WOWOWの番組内容から引用)


 今も昔もあまり連続テレビドラマを見ない上、フジテレビのドラマの雰囲気と福山雅治さんの演技がWであんまり好みじゃなくなってしまってたので、『ガリレオ』シリーズも見てないのです。わがままですみません。
 なので、KOH+名義の柴咲コウさんの主題歌を、当時弟がレンタルしてきたCDで初めて知って、よく聴いてたのに、この映画の主題歌だと、たった今知りました。いや、たぶん、テレビ大好きな弟から、当時聞いてたはずなんですが、まったく興味持てなかっただけでしょう。


 あだしごとはさておき。

 あんまりあざとく映し出すから、その瞬間にトリックが分かってしまった。うん。でも、たぶん、そこじゃないんだろうな。トリックは重要じゃない。
 とはいえ、論理的思考で明快な謎解きをする物理学者の湯川という人物を仕立てておきながら、観てる途中でネタばれしてしまうのは、アカンのかな? 福山さん演じる湯川の謎解きでカタルシスを覚える向きには、ちょっと不満かも。

 ま、トリックが重要じゃない、というのは言い過ぎだけど、松雪さんと堤さんの演じるドラマ部分はとても好かったので、そこかな、と思った次第。
 けれど、正直なところ、ほぼ心を動かされるところは無かったです。もう、最後の最後、展開が読めていた中での石神と靖子の直接対面のとき、どちらかというと、堤さんと松雪さん二人の迫真の演技で持ってかれたカンジ。ドラマの中の登場人物としては、脚本的にも演出的にも、誰かに感情移入できるほどのモノは無かったです。
 いや、でも。もしかしたら、石神の明晰な思考から導き出された筋書きの印象を際立たせるため、より一層淡々とドラマを進めていたのかも知れません。だから最後の石神の行動で、心を動かされた、そういう演出意図だったのかも。それなら上手くできた作品と言えるのかな?

 うん、でも。この作品見て、やっぱり福山さんの一本調子な台詞回しは苦手だな、という印象を拭えませんでした。
 なぜか、柴咲さんの演技や表情も、役柄のせいなのか、あまり魅力を感じられなかったです。
 看板は人気テレビドラマ〝ガリレオシリーズ〟の映画化だから、本来は福山さん、柴咲さんのコンビが主演なんでしょうけど、殊この作品について言えば、主演は堤さんと松雪さんという見方がしっくりきます。
 堤真一さん、松雪泰子さん、お二人の熱演に。あ、あと、どうしようもないクズ(元)亭主っぷりを演じた長塚圭史さんの名演に。合わせて★7つだな。

 韓国でも同じ原作で映画化されてるみたいだけど、そっちはどうでしょうね?


東野圭吾さん原作の映画の中では、今のところこれが一番良かったと思う。
vgaia.hatenadiary.org
※西谷監督作品。柴咲コウさんは好かった。
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●監督:西谷弘 ●脚本:福田靖 ●原作:東野圭吾(小説『容疑者Xの献身』「第6回本格ミステリ大賞」「第134回直木三十五賞」「本格ミステリ・ベスト10 2006年版 1位」「このミステリーがすごい!2006 1位」「2005年 週刊文春 ミステリベスト10 1位」/文藝春秋刊)