一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

恐怖劇場アンバランス第7話「夜が明けたら」

私的評価★★★★★★★☆☆☆

DVD恐怖劇場アンバランス Vol.4

 (1969日本)

 新宿にぶらぶらと買い物出かけた初老の父(西村晃さん)と若い娘。テーラーの父が注文していた断ち切りバサミを受け取りにいったとき、娘が3人の不良青年に絡まれた。立ち止まった群集は、冷ややかな目で、成り行きを見ているばかり。逃げ惑う娘を助けるため、父はついに手にしたハサミで3人の青年を次々と刺してしまう。たまたま通りかかった刑事(花沢徳衛さん)に緊急逮捕された父は、目撃者の証言もあり、懲役1年・執行猶予無しの実刑判決を受け、服役してしまう。やがて模範囚として半年後に仮釈放された父は、平穏な日常を取り戻したかに見えたが、件の不良青年との怪しい関係が噂されるようになっていた。


 まぁ、何より、世の不条理を「見せる」手法が怖いぐらいにはまってました。前半の事件の描写は、現場の音声が絞られ、娘が冠婚葬祭マナー本の一節を訥々と読み上げる音声が延々と被さりつつ、事件の映像の合間に娘がブロック塀の前で本を広げて朗読するシーンが時折挟み込まれるという、実に奇妙なシーンだったのです。見ている側にも、父親の混乱を心理的に疑似体験させようかという煽り方に思えます。

 ただ、ストーリーは、何とも言えないお粗末な展開でブレイクしてしまいます。まだまだ青二才なボクには、このディープなお話が理解できません。事件で一端折れてしまった父の心に芽生えたのは、一体何だったのか。復讐心であるなら、その復讐は成功したのか?

●監督:黒木和雄 ●脚本:滝沢真里 ●原作:山田風太郎(小説「黒幕」)