一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

花田少年史 幽霊と秘密のトンネル

私的評価★★★★★★★★★★

花田少年史 幽霊と秘密のトンネル [DVD]

 (2006日本)

 1970年代の瀬戸内の田舎町で暮らす花田一家のやんちゃ坊主・一路(須賀健太さん)が、トラックにはねられ意識不明の重体から奇跡的に復活したあと、なぜか幽霊が見えるようになるというお話。


 一路少年を中心に、子どもたちの生き生きとした活躍が清々しい作品です。

 ネタ的には陳腐だと思うんだけど、ストーリーがよく組み立てられているのと、笑わせどころ、泣かせどころを心得た脚本及び出演者のすばらしい演技力のおかげで、一端見始めたらぐいぐい引き込まれてしまいました。

 キャストも私の好きな方が大勢いらして、もたいまさこさんと杉本哲太さんは、特にたまらんですね。もう安心して見ていられます。過剰な演技が好きになれない西村さんも、この作品の中でなら許せました。良かったです。

 子役の村上壮太役の松田昂大さんの演技が特に光っていたと思います。一路の交通事故に直面した直後の震えが止まらない様子だとか、運動会の借り物競争中に、亡き父との面影に押されて母の婚約者である市村和夫(小林隆さん)の元に泣きながら駆けつけるシーンだとか、父(杉本哲太さん)の死の真相を知って激しく動揺し一路をなじるシーンだとか、少年の揺れる心の機微を、表情・仕種・セリフの発声、全てで見事に演じ分けているところは、主演の須賀健太さんを完全に食ってしまっていました。

●監督:水田伸生 ●脚本:大森寿美男 ●原作:一色まこと(コミック「花田少年史」シリーズ)