K-20 怪人二十面相・伝

私的評価★★★★★★★★☆☆

　（2008日本）

　1949年、第２次世界大戦が回避されたパラレルワールドの帝都は、19世紀から続く華族が特権階級として身分制度の頂点に君臨し、巨大な富を独占する極端な貧富の差が生じた社会だった。そんな帝都で富裕層をターゲットにして、予告状を送りつけた上で魔法のような手口で高価な美術品ばかり盗む“怪人二十面相”が出現して世間を騒がせており、対応に手を焼いた警務局の浪越警部（益岡徹さん）は、名探偵・明智小五郎（仲村トオルさん）に捜査を依頼する。ある日、身分制度の最下層のサーカスで曲芸師として働く遠藤平吉（金城武さん）は、カストリ雑誌の記者を名乗る男から明智小五郎と羽柴財閥の跡取りである羽柴葉子（松たか子さん）の結納の様子を隠し撮りするよう依頼されるが、現場で起きた爆発事件のせいで、平吉は怪人二十面相として逮捕されてしまう。怪人二十面相の罠にはまった平吉は、自分の無実を晴らすため、自らホンモノの怪人二十面相を捕らえる決意をする。

　意外と面白かったです。

　バットマンとかシャドーとか、いわゆるスチームパンクな世界観の娯楽アクション映画ですが、アメコミのヒーロー物のような暗さはあまりなく、むしろ宮崎駿さんのアニメを実写化したような雰囲気を感じました。

　二十面相が帝都を跋扈するアクションには、パルクールの動作に長けたロシア人スタントマンが起用されており、走る・跳ぶ・登るなどの一連の動きが、スピーディでカッコよく演出されています。

　またVFXには、ALWAYS 三丁目の夕日やジュブナイルの山崎貴さんが協力していて、魅力的な帝都の様子を創出しています。

　松たか子さん、特に好きでも嫌いでも無かったんですが、本作では明るくお転婆な良家の子女を魅力的に演じており、ボクの中で好感度が上がりました。

　でも、イチバン驚いたのは、牢に入れられていた松重豊さんの怪演でしたねぇ（苦笑）。

●監督・脚本：佐藤嗣麻子　●原作：北村想（小説「完全版 怪人二十面相・伝」）