一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ラフ ROUGH

私的評価★★★★★★★★★☆

ラフ スタンダード・エディション [DVD]

 (2006日本)

 私立栄泉高校のスポーツ特待生が入寮する上鷺寮。水泳部・高飛び込みの選手、二ノ宮亜美(長澤まさみさん)は、ある事情から、競泳自由形の選手、大和圭介(速水もこみちさん)を一方的に眼の敵にしていた。ある日、寮の恒例行事で、男子と女子の代表一人ずつが1日デートをすることになり、亜美と圭介がデートをすることになる。圭介は、日本記録保持者で早海大の仲西弘樹(阿部力さん)を目標にしていたが、デートの最中に、亜美が弘樹のことを『お兄ちゃん』と呼び、親しくしていたことを知る。一方、特待生で唯一入寮していない高飛び込みの選手、小柳かおり(市川由衣さん)が、秘かに圭介に好意を寄せていた。


 『タッチ』に続く、あだち充さんの大ヒット人気漫画の実写映画化。
 こちらは、原作を全く知りません。
 なので、純粋に映画として楽しみました。
 『タッチ』よりは、だんぜん良かったですね。
 106分と短い尺ながら、各エピソードが絶妙に配されていて、それぞれの場面で登場人物がしっかり描かれ、しっかり演技していたように思います。素直にストーリーに入り込めました。
 たぶん、あだちさんの漫画だから、いっぱいお騒がせなサブキャラが居たのでしょうが、106分の映画版では、圭介と弘樹のライバル関係と亜美をめぐる三角関係、亜美とかおりの圭介をめぐる三角関係を軸に、圭介を叱咤する同室の緒方剛(石田卓也さん)など、ストーリーの主たる登場人物が過不足なく配置されていたと思います。あだち漫画といえば、絶妙な三角関係とライバル関係ですから、うまく切り取ってきてると思いました。もちろん、八嶋智人さんを始め、サブキャラもうまく馴染んでいて楽しかったですよ。それから、市川さんのかおり、けっこう絶妙なポジションでストーリーに絡んできてましたね。亜美の本心を引き出すための演出上、必要なキャラだったと思います。

 映像的には、CGも使っていましたが、青く澄むプールの水の表現が、きれいでした。競泳のシーンでは、まるで自分が泳いでいるかのような視点もありましたし、迫力満点で、全般的にすばらしいデキだと思いました。

 あ。スキマスイッチの挿入歌が3曲ありましたが、けっこう効果的に使ってる印象でした。この辺も『タッチ』よりは上手だったかな。

 あと、長澤さんの魅力の引き出し方も、『タッチ』よりだんぜんうまかったですね。のっけから、絶妙にイヤ〜な感じで圭介に絡んできて、ホントにイヤな女の子を見せつけて、見る者にネガティブな印象を植え付けておきながら、ストーリーが進行するにつれ、圭介と弘樹の間でいっぱい心が揺らぎ、その心の揺らぎを感じさせる微妙な表情、目の動きだったり、口元の動きだったりを、どの場面でも非常にうまく出してきて、すごく魅力的な亜美を演じていたと思います。


 そして、ラストの見せ方、カッコよかったですね。


●監督:大谷健太郎 ●原作:あだち充(コミック「ラフ」/小学館刊)