一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

CASSHERN

私的評価★★★☆☆☆☆☆☆☆

あの頃映画 松竹DVDコレクション CASSHERN

 (2004日本)

 大亜細亜連邦共和国ヨーロッパ連合による大戦が続き、荒廃した未来社会。環境汚染で人類が緩やかに滅亡へ向かう中、遺伝子工学の権威・東博士(寺尾聰さん)は、人体のあらゆる部位を作れる新造細胞理論を発表。だが、研究を独占しようとたくらむ軍閥と既得権を守ろうとする保健省が争い、その中で不死身の肉体を持った〝新造人間〟ブライ(唐沢寿明さん)が誕生し、人類に宣戦布告。一方、東博士は戦死した息子の鉄也(伊勢谷友介さん)を〝新造人間〟として蘇らせるが……。(WOWOWの番組内容から引用)


 少年期、荒廃した未来の世界を描いた〝新造人間キャシャーン〟が嫌いでした。毎回「キャシャーンがやらねば誰がやる」というナレーションを刷り込まれても、戦いの未来に希望が持てない世界観に、子どもなりに恐怖を覚えていたのではないかと。

 リメイクではなく、タイトルを借りたオマージュ作品でしょうか?

 ほぼ全編に渡りブルーバックとCGの合成、アニメーション的な表現も織り交ぜ、色調については強烈な色合いに加工されてたりモノクロ映画だったり、映像作家の本領発揮なのでしょうが、見ていて疲れます。
 悪くはないんですけど、疲れるんですよ。う~む、映像に凝りすぎ?かもしれません。

 ストーリーも全編重苦しくて、常に人権を踏みにじられる恐怖を背負ってるような緊張感にさいなまれ、リラックスできません。
 ここまで見る者を追い詰めないと語れないテーマなのでしょう……ね。たぶん。
 こんだけ登場人物根こそぎ悲惨な死に追いやって、やっとすべての争いを否定できると言われても、「あぁ、現実でなくて映画で良かったね」とはなりません。だって、現実に今も至るところで人と人とが無為な争いを続けているワケですから。
 でもって、やっぱり予想どおりに、最後に〝その言葉〟を託されても……なんか、その落とし方、ずるいって思った。

 決して悪くはないんだけど、いや、むしろ思ってたほどひどくは無かったんだけど、見終わった後、どっと疲れた。


●監督:紀里谷和明 ●脚本:紀里谷和明、菅正太郎、佐藤大