一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

時をかける少女 (2010年)

私的評価★★★★★★★★★☆

時をかける少女 通常版 [Blu-ray]

 (2010日本)

 記憶は消えても、この想いは消えない。時を超えて、今、新たな物語がはじまる。

 母親・芳山和子(安田成美さん)の願いを叶えるため、1974年代にタイム・リープした芳山あかり(仲 里依紗さん)。
 偶然出会った大学生・涼太(中尾明慶さん)と行動を共にするうちに、ほのかな恋心が芽生え始める。
 ふたりの距離は徐々に近づくが、別れの時間はすぐそこに迫っていた。
 最後に涼太への想いを伝えようと、走り出すあかり。時を超えてまた、ふたりは同じ桜を見ることができるのか…。(Blu-rayパッケージから引用)


 『時をかける少女 (2006年) - 一応、邦画劇場』で勇気をもらったのでwww、ずっと封を切れずにいたBlu-rayを引っ張り出したワケです。

 とっとと見ときゃ良かった。
 なんか、心が洗われた気分。

 大人になった芳山和子さんが出てきて、同じくらい歳を重ねた深町一夫ことケン・ソゴル(石丸幹二さん)が出てくるとなれば、こちらが原作の正統な続編でしょうか?

 70年代半ばの若者風俗が、丁寧なロケハンとCGを組み合わせた絶妙のVFXで再現されてて、もうそれだけで泣きそうでした。
 出演者の皆さんの演技もすごくナチュラルで良かったです。
 特に仲さんと中尾さんの演技が秀逸で、過剰な盛り付けが一切なく、ホントに70年代的な朴訥な青年と純粋な少女との淡い恋心がぐっと迫ってくるんです。
 二人の表情やしぐさを見ているだけで、心の揺らぎがひしひしと画面から伝わってきて、胸が詰まります。
 クライマックスの仲さんの泣き喚くシーンも、迫真の演技で、思い切り持ってかれました。

 けっこう細部まで監督さんや撮影スタッフさんたちのこだわりが、いい意味で効いてます。
 狭いアパートの小さなコタツに向かい合わせのまま寝転がると、互いの顔と足先が向き合って、それが妙に心をくすぐる映像になってたりします。
 最後に二人が別れるシーンで、仲さんの表情を隠し切った演出、隠したことで余計に切なさがこみ上げてきて、名場面だったと思います。
 また、携帯電話もスマホもない70年代という時代の恋愛がどんなものか、時代をちゃんと映していて、直ちに連絡を取り合えないようなもどかしい距離感を感じさせるように、物思うシーンから思い立ってひたすら走り続けて相手の元へ駆け込む、というようなシーンが随所に見られ、不便であるがゆえに余計に互いを思う気持ちが強く感じられるような演出が良かったと思います。
 距離感といえば、1974年当時のゴテツこと長谷川(青木崇高さん)と芳山和子(石橋杏奈さん)が二人並んで歩くシーンの後姿、その二人の付かず離れずの絶妙な距離感も、その当時の恋愛観を表現できているように思えて良かったですね。

 若い方たちには、70年代の恋愛模様、どんな風に映るんでしょうね?


 その他、雑感。
 弓道場で仲さんが弓を構えて、正に今、矢を放たんとした途端に、矢が手元からずり落ちる様子を、顔の幅だけ開いた窓からのぞく柄本時生さんの表情が、ナチュラルで笑えてしまう。
 あ~。これぞ正しく〝時生×少女〟だwwwってアタマの中に言葉遊びがグルグル回りだし、しばらくストーリーに入っていけなくなってしまった^^;
 1983年版の原田知世さん主演映画のときは、雑誌の投稿一コマ漫画で〝『時』を書ける少女〟なんてお寒いネタも見ましたが、まさか監督、このネタ仕込んでないですよね? ボクの勝手な妄想ですよね? ね?

 仲さんと中尾さんは、この映画の共演がきっかけかどうか、3年後に結婚されたんですよね。どちらも好きな方なんで、末永くお幸せでありますように、祈っております。


●監督:谷口正晃 ●脚本:菅野友恵 ●原作:筒井康隆(小説『時をかける少女』/角川文庫刊)