捨て身のならず者
私的評価★★★★★★★☆☆☆
(1970日本)
一匹オオカミのトップ屋・矢島(高倉健さん)は、暴力団大和会の調査を進めるうち、逆に組織から殺人犯に仕立て上げられる。復讐の鬼と化した彼のもとに、大和会会長の死が知らされるが…。
(日本映画専門チャンネルのあらすじから引用)
こちらも東映らしい男くさいハードボイルド映画。
日活の宍戸錠さんと、東宝の浜美枝さんが高倉健さんと共演しているのが、新鮮に映った。
無実の罪で5年間服役している間に妻が殺され、首謀者と思われる大和会会長が亡くなり、行き場の無い怒りをたぎらせながら出所した矢島。
偶然、九州から出てきた会長の娘・真佐子(浜美枝さん)と遭遇すると、会長の死に疑問を抱くようになる。
やがて、大和会に復習を果たす時が来るが、そのとき真佐子は……。
なんとも不思議な味わいの映画。
任侠モノでないけれど、健さんの役どころ、結局のところ単身敵陣に乗り込んで、長ドスの代わりにリボルバーを撃ち殴るという。かと言って、アメリカのマフィア相手のハードボイルド映画とも雰囲気は違って、日本映画的にちょいちょいウエットな感じが、なんとも不思議。銃撃戦も、カメラアングルが悪いのか、すごく至近距離での局地戦的マシンガンぶっ放しで、爽快感は皆無。
そして、復習を果たしても、カタルシスを感じられない、むしろ救いようの無い虚無感だけが漂う。
誰も幸せになっていないのは、ハードボイルドだから、仕方ないのか。
なんとも言えない、やるせなさだけが残ったが、いろいろと興味深い映画ではあった。