アース(Earth)
私的評価★★★★★★★★★☆
(2007ドイツ/イギリス)
貴重な野生生物たちを追い、自然ドキュメンタリー映画として、日本では異例の大ヒットを記録。続編「アース アメイジング・デイ」も製作。吹替版ナレーターは渡辺謙。
50億年前、巨大隕石が地球に衝突した結果、地球は23.5度傾き、それが世界各地に四季を生み出すことになった。カメラはまず北極で、地球温暖化の影響と苦闘するホッキョクグマの母子を捉える。彼らは海に氷が張った冬の間に狩りを終えなければならないが、温暖化で氷が解けるようになったせいで狩りは困難に。続いてカメラは南下し、熱帯雨林の動物たち、アフリカゾウ、ザトウクジラ、アムールヒョウらの生態を見つめていく。
(WOWOWの番組内容から引用)
イギリスのBBCが製作した2007年のドキュメンタリー映画。
タイトルのとおり、地球規模の壮大な自然の映像に圧倒されます。
この映像は、劇場の大きなスクリーンで鑑賞すべきスケールですね。
北極から南極に向けて5年の歳月をかけて撮影された映像の数々は、美しくも苛烈で過酷な大自然の中で生き抜くさまざまな生命の賛歌と言えます。
個人的には、南極の海を目指して南下するザトウクジラの親子の映像が大好きなんですが、どの映像も目を瞠るすばらしさです。
命あふれるこの星の素晴らしさを感じないではいられない、そんな素敵な作品ですが、一方で、地球温暖化の影響で氷が早く溶けるようになって狩りのできる期間が短くなったため、ついには餓死してしまうホッキョクグマの話題など、環境問題への示唆にも富んだ作品です。
ところで、最後に英語のキャプションが出てくるところに日本語訳のキャプションが被さるんですが、ザトウクジラの映像の場面だけ何故か『海水温の上昇で減少している』とだけ表示されています。
その前のホッキョクグマの映像では『現在の割合で気温が上昇し続ければホッキョクグマは2030年までに絶滅する』、アフリカゾウの映像では『温暖化による気候系の混乱で真水の供給量は著しく予測困難になっている』ときっちり訳されているのに、〝Rising ocean temperatures have started to kill the plankton on which humpback whales and most other sea life depend〟だけ『海水温の上昇でザトウクジラや多くの海洋生物が命綱としているプランクトンが減少している』としなかったのは何故なんでしょうね? 不思議です。まぁ、ホッキョクグマも〝polar bears may be extinct in the wild by 2030〟だから、日本語訳のように断言はしてないので、この辺は、日本語版を監修した方の、何かしら意図あってのことなんでしょうかね?
※BBC Earthの自然ドキュメンタリー
vgaia.hatenadiary.org
●監督・脚本:Alastair Fothergill アラステア・フォザーギル、Mark Linfield マーク・リンフィールド ●脚本:David Attenborough デヴィッド・アッテンボロー