一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ピアノの森

私的評価★★★★★★★★☆☆

ピアノの森 [スタンダード・エディション] [DVD]

 (2007日本)

一色まことの人気漫画を映像化した、音楽アニメの注目作。天才と秀才、ともにピアノに魅せられた少年2人の友情と葛藤を綴る。声優陣は、上戸彩神木隆之介ら豪華顔触れ。

 高名なピアニストを父親に持ち、自らもピアニストになるべく英才教育を受けている小学生・修平(声:神木隆之介さん)は、転校先の学校で、天真爛漫な少年・海(カイ/声:上戸彩さん)と出会う。彼もピアノを弾くことを知った修平は、放課後、海(カイ)とともに不思議なピアノが捨てられているという森の奥へ向かう。そのピアノは修平が弾いても音を出すことすらできないが、海(カイ)の手にかかると美しい旋律を奏でだした。修平は海の天性の素質を知り、2人は親友となるのだが……。
WOWOWの番組内容から引用)


 忘れもしない、昨年1月15日に部下の運転する車で〝ソフィア・堺プラネタリウム〟に行ったとき、車内で道中に鑑賞したDVDがこの作品でした。なんで『忘れもしない』なのかというと、大人になって生涯2度目のインフルエンザをもらって帰った日だったからです^^;

 森の中の壊れた(はずの)ピアノを弾く少年・海(カイ)の描写がとても美しく、カーナビの小さい画面ながら印象深かったのを覚えています。
 今回、大画面で鑑賞してみて、その辺りの印象を再確認しました。やはり、美しい画です。

 全編通してピアノの演奏が響き渡るのですが、音楽さっぱり分からないボクでも分かるくらい、演奏する人物によって、印象が異なるよう演出されていることに気づきます。
 端正で正確に弾く修平に対し、ピアノフォルテの強弱がくっきりした演奏をする海(カイ)。
 特に、コンクールで弾きなおした海(カイ)の演奏は、残響も強めでエモーショナルな印象を残すものでした。いえ、音楽ド素人の、ボク個人の感じ方に過ぎません。悪しからず^^;

 物語としては、海(カイ)が本格的にピアニストを目指すきっかけとなる、修平との出会いのエピソード、言わばプロローグ的な部分のみの映画化なんでしょうね。
 テレビアニメ版では、原作に沿って、その後の物語が描かれているようですが、劇場版の続編は制作されていないものと思われます。
 なぜなんでしょう?
 続きは観たいけれど、テレビアニメ版を見るほどの気力もなく、ましてや原作のコミックを読むほどの意欲まではない横着者なので、劇場版の続編を望みます。

 あと、コンクールの控え室で初めて出会う誉子(声:福田麻由子さん)と海(カイ)の、会場内でのやりとりは、かなりエキセントリックに感じました。
 子ども同士のやり方って、あんなカンジに一気に距離が縮まったりするモンなのかな、と、オッサンの固くなった頭では、ちょっと理解を超えている印象でした。
 まぁ、ストレートに自分の感情を表に出す海(カイ)ならではの人づき合いのスタイルなのかも知れません。


 あだしごとですが。

 上戸彩さん、神木隆之介さん、池脇千鶴さん、福田麻由子さん、宮迫博之さん、必ずしも声優が本業とは言えない人気俳優の方々がこぞって出演されるのは、プロモーション上の話題づくりもあるんでしょうが、声優本業の方々の職域を侵しているようで、ちょっと残念に思います。
 確かに、クレジットを見なければ、気にならないくらいに、みなさんお上手な方々だとは思うんです。
 特に、海(カイ)の母親役の池脇千鶴さんは、完璧に声優さんの仕事でした。
 しかし、当事中学生だった神木さんの声質は、あまり修平の役柄に合っていないように感じたんです。5年生なので、修平も変声期を迎えていてもおかしくは無いんですが、無理して変声期あるいは変声期後のまだ落ち着かない声質の声に仕立てなくても良い年齢でもあります。それとも、設定的に原作どおりということでもあるんでしょうか?
 また、阿字野壮介は、宮迫さんとは気づきませんでしたが、ところどころ無理やり抑えて喋っているカンジがあって、もっと似合う声優さんが大勢いらっしゃるだろうに、と思った次第です。
 話題づくりのために一人二人、人気俳優さんが出演されるのはまだイイと思うんですけど。ま、余計なお世話ですかね。


一色まことさん原作の映画です。
vgaia.hatenadiary.org


●監督:小島正幸 ●脚本:蓬莱竜太 ●原作:一色まこと(コミック『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』/モーニング連載・講談社刊) ●アニメーション制作:マッドハウス