37セカンズ(37seconds)
私的評価★★★★★★★★★★
(2020日本/アメリカ)
ユマ23歳。
職業「ゴーストライター」。
生まれた時に、たった37秒息をしていなかったことで、身体に障害を抱えてしまった主人公・貴田ユマ(佳山 明(めい)さん)。親友の漫画家(萩原みのりさん)のゴーストライターとして、ひっそりと社会に存在している。そんな彼女と共に暮らす過保護な母(神野三鈴さん)は、ユマの世話をすることが唯一の生きがい。
毎日が息苦しく感じ始めたある日。独り立ちをしたいと思う一心で、自作の漫画を出版社に持ち込むが、女性編集長(板谷由夏さん)に「人生経験が少ない作家に、いい作品は描けない」と一蹴されてしまう。その瞬間、ユマの中で秘めていた何かが動き始める。これまでの自分の世界から脱するため、夢と直感だけを信じて、道を切り開いていくユマ。その先で彼女を待ち受けていたものとは…
(映画『37seconds』公式サイト「STORY」より引用)
イイな。元気になれる映画だ。
キラキラとイルミネーションが輝く夜の繁華街を駆け抜ける2台の車椅子。
心から楽しそうな、ユマたちの笑顔がはじける。
この世に生まれたからには、せいいっぱい己が生を楽しまずに死ねようか。
障がいがあることがハンディなのは、(物理的にも精神的にも)社会の仕掛けがそうなってるに過ぎない。
障がいはなくとも、カラダがうまく機能しなければ、使いにくい社会の仕掛けは実に多い。
だけど、そこで諦めずに、思い切って外の世界に飛び込んでいくユマの心の変化(成長)は、実に痛快だ。
イイ! イイぞ!
キミは、そうやってオトナになっていくんだな。
親離れし、精神的に自立していくんだな。
ヘタすれば日本的な湿っぽいお話になりかねない、この国でタブー視される〝性〟と〝障がい者〟という二つのテーマを、しっかりと地に足をつけながらも、明るく力強く描いてみせてくれたHIKARIさんのアプローチに感激。こういう映画、もっと当たり前にあってイイと思う。
ところで。
PG-12って、性的描写については、微妙な境界だよなぁ。
男性器の張り型が出てくるけど、ボクなら小学生に『アレ、なに?』と尋ねられても、最終的にうまく用途を説明できそうにないわぁ^^;
●監督・脚本:HIKARI