一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

鬼ガール!!

私的評価★★★★★★★★★☆

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映画『鬼ガール!!』公式サイトより引用

 (2020日本)

鬼だって、キラキラした恋したいんやっ!!

 ⻤瓦ももか(井頭愛海さん)は、ステキな恋、キラキラした青春にあこがれる、新高校1年生。でも彼女には、ゼッタイにバレてはならない秘密があった。それは、自分が鬼族の血をひく“鬼”であること。鬼のような天パーをストレートにし、鬼のような怪力をセーブし、興奮すると頭に生える“ツノ”もかくして生きてきた。これがもし見つかったら、彼氏も友だちもできっこない…。
 高校生活は、初日からドキドキの連続!にっくき幼なじみ(板垣瑞生さん)のせいで鬼のことがバレそうになったり、映画部の岬先輩(上村海成さん)からヒロインにスカウトされたり……。ソッコーで「女優になる!」と決め、岬先輩のことで頭がいっぱいのももか。あれ、ひょっとしてこれが恋ってやつ!?青春ってやつ!?しかし!映画のヒロイン決めはオーディションだった!はたして、ももかは、鬼バレせずにヒロインになれるのか?ももかの恋は、青春は、いったいどうなる!?

(映画『鬼ガール!!』公式サイト「ストーリー」より引用)
onigirl.jp


 あだしごとですが。

 実は、学生時代以来、37年ぶりに訪れた〝街の映画館〟で観たのです。

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昔ながらの映画館
 それは確か大学1年生の冬。
 夕方部室にふらりと立ち寄ったら、2年生の先輩に「おまえ、これから暇か? おごってやるから映画観にいかんか?」と誘われ、二人してママチャリ飛ばしてこの映画館に来たのです。

 当時は〝2本立て〟という売り方があったのですが、後にも先にも2本立ての映画を観たのはこの時だけ。
 もっと言えば、その先輩と映画に行ったのもその時限りという、不思議な思い出でした。

 先輩が観たかったのは、当時原作漫画もテレビアニメも大ヒットしていた高橋留美子さん原作の『うる星やつら オンリー・ユー』だったのですが、ボクは正直なところあんまり興味なかったので、内容をほぼ忘れていました。
 むしろ同時上映された相米慎二監督の『ションベン・ライダー永瀬正敏さんの映画デビュー作)』の方がおもしろくて、そっちを楽しんでいたと記憶しています。

 もう、当時あった多くの〝街の映画館〟が次々と閉館してしまい、うちらの方では、ここともう一か所同じグループの館があるだけです。

 昔ながらの緩やかなスロープのシアターで、やや上を見上げるカタチでスクリーンに臨むスタイルが、とても懐かしく、しかも平日で3人しかお客さんがいなくて、なんとも言えない感傷が心をよぎったのですが、映画が始まると、そんなノスタルジックなセンチメントはあっという間に吹っ飛び、すっかり楽しい気分で満たされていました。


 あだしごとはさておき。

 正直、『なんで鬼やねん? その設定、必要?』と思いながら観始めたんですが、話題が〝幻の脚本探し〟になったところから急にドラマが大きく動き始め、主人公が鬼であることの違和感もどこかへすっ飛んで、和太鼓やバンドが刻むビートに飲み込まれて一気にクライマックスまでのめり込むように観てしまいました。

 『桃連鎖』という脚本が表現しようとした、映像と舞台の連鎖劇が、すごくボク的には斬新でしたし、実際そのパフォーマンスを目にすると、もう震えが止まらなくなるほど感動しまくってました。

 とにかく、ご本人もドラマーとして出演されていましたが、元THE BLUE HEARTSドラマーである梶原徹也さんの音楽プロデュースがサイコー!
 ドラムや和太鼓のリズムで気分が高揚して、最高にハッピーな気分にしてもらえました。

 楽しすぎて、エンドロールのTHE BLUEHEARTSのカバー〝TRAIN TRAIN〟でノリノリのまま観終え、気持ちだけならスタンディング・オベーションで拍手を送りたいぐらいでした^^;

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 そして、『鬼であること』は、確かに意味のあることでした。

 〝違うこと〟を排除するのではなく理解し、受け入れること。

 それが、この青春〝鬼〟ロックムービーのテーマですね。



 しかし、こんなに楽しい映画なのに、うちらの方でも他の劇場での上映予定がないみたいで、それもこの木曜日で終演です。

 もったいないよなぁ。もっと多くの人に観てもらいたい映画だよなぁ。

 気分、アガるよ!

●監督:瀧川元気 ●脚本:中村航、作道雄、瀧川元気 ●音楽プロデューサー:梶原徹也(元THE BLUE HEARTSドラマー) ●原作:中村航(小説『鬼ガール!! ツノは出るけど女優めざしますっ!』/角川つばさ文庫刊)