一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

サイレント・トーキョー

私的評価★★★★★☆☆☆☆☆

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映画『サイレント・トーキョー』公式サイトより引用

 (2020日本)

Xmasの名曲に彩られた、99分ノンストップの衝撃。
巧妙に仕組まれた謎に、瞬きさえも後悔するー

 12月24日、東京。恵比寿に爆弾を仕掛けたとTV局に電話が入る。半信半疑で中継に向かった来栖公太(井之脇 海さん)は、そこにいた主婦・山口アイコ(石田ゆり子さん)とともに犯人の罠にはまり、実行犯へと仕立てられてゆく。その様子を朝比奈仁(佐藤浩市さん)が静かに見つめるなか、爆発は起きた。そして次の犯行予告が動画サイトに上げられる。「標的は渋谷・ハチ公前。要求は首相との生対談。期限は午後6時」。独自の捜査を行う刑事・世田志乃夫(西島秀俊さん)と泉大輝(勝地 涼さん)、不可解な行動をとるIT企業家・須永基樹(中村倫也さん)、イヴの夜を楽しみたい会社員・高梨真奈美(広瀬アリスさん)、そして一帯を封鎖する警察、事件を一層煽るマスコミ、騒ぎを聞きつけた野次馬たち。様々な思惑が交差する渋谷に“その時”が訪れる。それは、日本中を巻き込む運命のXmasの始まりだった。

真実にたどり着けるか?

(映画『サイレント・トーキョー』公式サイト「STORY」より引用)
silent-tokyo.com


 微妙な99分。
 冒頭の仕掛けからすでに違和感あり過ぎて、困ってしまった。
 正直、どういうポジションかは分からずとも、誰がどっちサイドかは、観ててすぐ分かってしまう。それで、いいんかなぁ?

 爆発事件自体は怖い映像だったと思う。大音響も凄かったし。
 でも、人が大勢吹き飛ばされるところをあざとくスローで見せるのは、悲惨な場面なのに、なぜか人間がみな滑稽な姿カタチに見えてしまい、眉をひそめながらも思わず「変…」って呟いてまってた。あの演出はいただけなかったと思う。
 それなのに、この映画の見どころは、爆発シーンだけだったかも知れないって、ちょっと寂しいハナシだなぁ。

 とにかく。犯人の行動が……弱い。脆い。温い。
 何がしたかったのか、誰にもメッセージが伝わらない。
 それじゃあ、爆発事件で死傷した人間が、浮かばれない。いや、メッセージを受け取っても、納得できる被害者は、ほぼいないよな。
 確かに、動機は分からんでもないが、なんだか終始あまりにも感傷に溺れすぎてて、正直、犯人に感情移入しづらかった。
 もうちょっと、動機となる部分を丁寧に印象付けて欲しかったと思うよ。
 特に、回想の中の若いころと現在じゃあ、役者さんが全員入れ替わってるんだから、現在の人間関係と置き換えるの分かりづらかったがね。

 なんか、惜しいよなぁ……(´-д-)-3

 ボクはクリスマスが嫌いだ。
 あの、日本人のバカ騒ぎが嫌いだ。
 バカ騒ぎの裏で、寂しい思いを抱いている人間がいる。
 いや、みんな寂しいからバカ騒ぎしてるのかも知れない。
 この映画の犯人も、クリスマスという雰囲気に流されている気がする。

 犯人の最後の決断……うん。まぁ……やっぱり感傷的に過ぎる。


●監督:波多野貴文 ●脚本:山浦雅大 ●音楽:大間々昂 ●原作:秦 建日子(小説『サイレント・トーキョー And so this is Xmas』/河出文庫 刊)