一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

祈りの幕が下りる時

私的評価★★★★★★★★★★

祈りの幕が下りる時 Blu-ray通常版

 (2018日本)

 東京都葛飾区小菅のアパートで女性の絞殺死体が発見される。被害者は滋賀在住の押谷道子(中島ひろ子さん)。殺害現場となったアパートの住人・越川睦夫も行方不明になっていた。やがて捜査線上に浮かびあがる美しき舞台演出家・浅居博美(松嶋菜々子さん)。しかし彼女には確かなアリバイがあり、捜査は進展しない。
松宮脩平(溝端淳平さん)は捜査を進めるうちに、遺品のカレンダーに日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることを発見する。その事実を知った加賀恭一郎(阿部寛さん)は激しく動揺する。それは失踪した加賀の母に繋がっていた……。
Blu-rayパッケージ「STORY」から引用)


 〝新参者〟シリーズ完結編。加賀恭一郎は、なぜ新参者になったのか?

 映像が、まず美しいと感じました。けっこうドローンの映像も使ってるみたいですが、広がりのある景色を映し出すのに効果的に使われていると思います。
 ストーリーも、TVシリーズのような謎解きの妙がしっかりと構成されていて、良かったです。
 原作自体、松本清張さんの『砂の器』を髣髴とさせるとの評価があるようで、その辺を知らずに映画を見ましたが、途中で確かに『砂の器 - 一応、邦画劇場』みたいだと感じました。

 で、何より、みなさん演技が素晴らしい。
 特に、松嶋菜々子さんの底力をまざまざと見せ付けられたように思いました。30代前半で出演した『犬神家の一族 - 一応、邦画劇場』で珠世を演じたときには、演出上不可解な表情もありましたが、40代半ばで円熟味を増した彼女が本作で見せた表情の数々は、もう鳥肌モンでした。

 ネタバレになるので、これ以上は書けません。しかし、ミステリー好きにはたまらん一作です。見て損はないと思います。
 

●監督:福澤克雄 ●脚本:李正美 ●原作:東野圭吾(小説「祈りの幕が下りる時」/講談社刊)