一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

泣く子はいねぇが

私的評価★★★★★★★★★☆

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映画『泣く子はいねぇが』公式サイトより引用

 (2020日本)

笑って、泣いて、叫んで。
彼の出した答えが、あなたの胸に突き刺さる――。

 たすく(仲野太賀さん)は、娘が生まれ喜びの中にいた。一方、妻・ことね(吉岡里帆さん)は、子供じみて、父になる覚悟が見えないたすくに苛立っていた。大晦日の夜、たすくはことねに「酒を飲まずに早く帰る」と約束を交わし、地元の伝統行事「ナマハゲ」に例年通り参加する。しかし結果、酒を断ることができずに泥酔したたすくは、溜め込んだ鬱憤を晴らすように「ナマハゲ」の面をつけたまま全裸で男鹿の街へ走り出す。そしてその姿をテレビで全国放送されてしまうのだった――。

 それから2年の月日が流れ、たすくは東京にいた。ことねには愛想をつかされ、地元にも到底いられず、逃げるように上京したものの、そこにも居場所は見つからず、くすぶった生活を送っていた。そんな矢先、親友の志波(寛一郎さん)からことねの近況を聞く。ことねと娘への強い想いを再認識したたすくは、ようやく自らの愚行と向き合い、地元に戻る決意をする。だが、現実はそう容易いものではなかった…。

果たしてたすくは、自分の“生きる道”、“居場所”を見つけることができるのか?

(映画『泣く子はいねぇが』公式サイト「STORY」より引用)
nakukohainega.com


 大人になる覚悟、新しい家族を成す覚悟、親になる覚悟。

 覚悟をせぬまま歳だけを重ねたオッサンは、果たして大人と言えるのだろうか?

 ボクは、年老いたガキだ。

 他人の人生を背負う覚悟を持つことなく、運命に流されながら年取ったガキだ。

 そんなボクには、たすくの頼りなげな人生を嗤うことはできない。

 他人に流され、悪いこととすら気づくことなく愚行を重ねても、彼を愚か者と叱責する資格は、ボクにはないだろう。

 だから、行き当たりばったりのたすくの行動が、いちいち胸に刺さって仕方ない。

 自分の中にある愚か者の核を、千枚通しでぶすぶす突き立てられるような痛みを感じる。

 男鹿に出戻ったたすくが、別れた妻に縒りを戻すことを拒絶されたあと、どうしても会いたい娘のために決めた覚悟で、とうとう止めを刺されてしまった。

 せつなさがこみ上げてきて体が震え、止め処なくあふれる涙を禁じ得なかった。

 絶望の炎に焼き尽くされた灰の中から、新たな希望は芽生えるだろうか?


※大人になれない男が女に愛想をつかされる映画^^;
vgaia.hatenadiary.org


●監督・脚本・編集:佐藤快磨 ●企画:是枝裕和 ●音楽:折坂悠太 ●主題歌:折坂悠太『春』(Less+ Project.)