仮面病棟
私的評価★★★★☆☆☆☆☆☆
(2020日本)
その日、病院は仮面の凶悪犯に占拠された。
その日、平穏だった「田所病院」はピエロの仮面をつけた凶悪犯に占拠された。
そこには、一夜限りの当直医の速水(坂口健太郎さん)と、凶悪犯に撃たれた女子大生の瞳(永野芽郁さん)。
危険な密室と化した病院から脱出を試みる2人は、次々と不可解な謎に遭遇する─。
入院記録のない患者たち。隠された病室、あるはずのない最新の手術室。
警察への通報を拒否する院長とスタッフ。意図の見えない凶悪犯の犯行目的…。
ここでは病院も人間も
ウソの仮面をかぶっている─。
(映画『仮面病棟』公式サイト「STORY」より引用)
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脱出ゲーム的なサスペンス・ミステリー。
閉ざされた元精神病院が舞台、ということで、全編に一定のサスペンス感・緊張感はあったが……。
ピエロの仮面を被ったコンビニ強盗に占拠される、療養型病院。元精神病院だから、いろんなところに人の往来を遮断する格子戸が設けられていて、脱出の自由を奪われる、ということらしい。
しかし、犯人の目的が判然としないまま、思いのほか院内を自由に往来できるカンジが妙に御都合主義を感じるし、犯人がただのコンビニ強盗じゃないことにも、早々に気づけるというモノ。
あとは、秘密を抱えているのが明白な院長(高嶋政伸さん)の言動や病院スタッフの不可解な行動を見れば、何となくストーリーは見えてくるワケだが……。
ピエロの正体とか、予想を裏切るところもあり、クライマックスで一時はどうなるかと思う展開も……あるにはあったんだけど、結局、「なんでそうなった?」的な御都合主義で流されるところに、なんだか〝人の感情の一部分だけ〟に振り回された挙句、机上で組み立てただけの、微妙に現実感を欠いたミステリーになってしまった印象だ。
最後、速水の手に届けられたモノを見ても、救われた感は皆無。
映像では見せてないけど、最後は思いとどまったことを匂わせてる。
でも、ボクにはその気持ちが分からんかったなぁ。
やりきらなかった復讐で、精神的に立ち直れるん?
そこらが、〝人の感情の一部分だけ〟に振り回された挙句、御都合主義に流された印象たる所以。
ボクなら半端にするくらいなら、ハナからしない。
中断するなら、「無念!」と自決する。
そうでもないなら、司直の手に落ち、心を閉ざしたまま、罪を償うことになるかな。
速水の手にアレが届けられたという事実は、そのどれでもないことを暗示している。
犯人がこの後どうしたか、は、観る者それぞれの倫理観に基づく憶測に委ねられた、と見るべきなんだろうね。
なんだか、モヤッと感ばかりが残って、気持ち悪かった。
●監督:木村ひさし ●脚本:知念実希人、木村ひさし ●脚本協力:小山正太、江良至 ●原作:知念実希人(小説『仮面病棟』/実業之日本社)