一応、邦画劇場

過去の自分、現在の自分、そして未来の自分に向き合う映画鑑賞

ルパン三世

私的評価★★★★★★★☆☆☆

ルパン三世 Blu-rayスタンダード・エディション

 (2014日本)

 ユリウス・カエサルクレオパトラ7世に贈った〝世界で最も美しいジュエリー“・・・〈光の首飾り〉に〈真紅のルビー〉を埋め込んだ究極の宝物・・・ 【クリムゾン・ハート】。それはかつて何者かによって盗み出され、以来、歴史の闇に消え去った。
 そして現代。ルビーと首飾りそれぞれの所有者=東洋・西洋を代表する2人の大富豪が互いの秘宝を狙い合っていた。
 アジアの闇社会を牛耳るMr.プラムック(ニルット・シリチャンヤーさん/吹替:菅生隆之さん)と、かつて怪盗ルパンの相棒として名を馳せた老盗賊・ドーソン(ニック・テイトさん/吹替:坂口芳貞さん)。インターポールの銭形警部(浅野忠信さん)は、世界中の泥棒たちがドーソンの邸宅に集合するという情報を入手。ドーソンは、大盗賊団=ザ・ワークスのリーダーであったが引退を表明し、その場で次期リーダーを発表するらしい。
 次々集まる名だたる泥棒たちの中には、国際指名手配犯・ルパン三世小栗旬さん)の姿もあった。そこにはルパンの仲間である峰不二子黒木メイサさん)、マイケル・リー(ジェリー・イェン/吹替:加瀬康之)や、ドーソンの用心棒・次元大介玉山鉄二さん)も・・・だが、この会合を混乱に陥れることを狙ったプラムックは、ルパンをライバル視するマイケルを操って、ドーソン暗殺に成功。首飾りを手に入れて、ついに【クリムゾン・ハート】を完成させた。ドーソンの遺志を継ぎ、秘宝奪還を誓うルパン。そのありかは、地図に載らないジャングルにあり、地雷原と武装兵によって守られる難攻不落の要塞型セキュリティシステム―その名も【方舟(ジ・アーク)】。ルパン三世は、次元大介峰不二子石川五ェ門綾野剛さん)とともに、この「絶対不可能」なミッションに挑む!
(映画『ルパン三世Blu-ray&DVD公式サイト「STORY」より引用)

映画『ルパン三世』Blu-ray&DVD公式サイト
ルパン三世 - 映画・映像|東宝WEB SITE


 まぁ、いろんな意味で、日本映画の範疇ははみ出している気がした。
 そもそも、北村龍平監督が撮るんだから、ハリウッド的になるのは仕方ない。
 アジア圏を舞台に無国籍なルパンの世界観を実写で表現すると、こうなるということ。

 日本語・英語・タイ語・中国語・韓国語の5か国語が飛び交う現場で撮影された作品は、出演者全員がアフレコで日本語を充てているという不思議な映像。リップシンクが微妙なので、たぶん小栗さんたちもあとから声あてしていると思う。『頭文字(イニシャル)D THE MOVIE』と違って、ちゃんと本人が充ててるので、外国人が同時に日本語をしゃべっているところだけ違和感を感じるワケだけど、どうせ違和感感じるんなら、小栗さんの声を栗田貫一さんが声あてしちゃえば良かったかも、とか、もういっそルパンをフランス人が演じて、それを栗田さんが声あてしちゃえば、なんてことまで考えながら観てしまったwww

 シナリオ的には、ルパン三世の軽さが足りない。むしろ『組織に組みして、おじきと慕う大盗賊の恩に報いるために動くルパン』とか、『マイケルの父の敵討ちに関わろうとする峰富士子』とか、妙にネットリしたアジア的メンタリティはルパン、不二子ともども『らしくない』というか、そういう設定があっても、ルパンや不二子はもっと軽妙洒脱、華麗にケジメをつけると思うんだが、とにかく雰囲気に重しがかかってる気がしてならない。

 一方、ルパンと次元が相棒になるのも、ルパンと銭形警部が腐れ縁になるのも、この作品中で初めての出来事として描かれているワケだけど、こういうリメイク作品にしては珍しく手を抜かず、アニメ版の設定を観客が既に知っているという前提では作っていないので、ちゃんとこの作品単体で完結している。そこは感心した。
 まぁ、単体で完結しているという意味では、アニメ版ルパン三世を単に実写化したワケではない。アニメ版の世界観に引きずられず、この映画独自の世界観を楽しむというのが正しい鑑賞方法なのだろう。そう思って観れば、十分アクション映画としては、楽しめる。ただ、日本人的なメンタリティとは違う味わいの映画なのは、邦画ファンとしては、微妙だ。


※本作の40年前に公開された実写版。個人的には〝黒歴史〟だと思うwww
vgaia.hatenadiary.org
※北村監督の作品。ハリウッド的なゴジラだった。
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●監督:北村龍平 ●脚本:水島力也(山本又一朗) ●原作:モンキーパンチ(コミック『ルパン三世』シリーズ)